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アフリカうまか日記

アフリカで食べまくります!2017年2月12日に出国予定です!

新婚さんの食卓

 

 エチオピアの首都アディスアベバから飛行機でおよそ2時間。東アフリカの内陸国ルワンダの首都キガリに降り立ちました。埃っぽいアディスアベバとは違い、大きな雨粒が降り注いでいます。今回の訪問で、ルワンダを訪れるのは三度めになります。最初は大学2年生の夏、西部の町ブタレを中心に旅しました。次に訪れたのが大学4年生の夏で、首都キガリに滞在しました。今回も前回と同様に首都キガリに滞在しました。


教区のミーティング

 私がルワンダを三回訪れたうち三回とも会っている友人がいます。名前はアルフレッド。IT企業で忙しく働いています。彼と初めて出会ったのは日本でした。当時、私と彼は日本ルワンダ学生会議という団体に所属しており、その活動一貫として来日した彼に会うことになったのです。なかでも思い出深いのが、学生会議で彼を長崎に招いたことです。祖父母の家にホームステイしてもらい、原爆資料館をめぐったり、南山手で街歩きをしたりしました。今でも彼は「住みたいのは東京だけど、日本で一番美しい町は長崎だよ」と言ってくれます。

 さて、最初にルワンダを訪れたときは彼はまだ学生でした。次に訪れたときは、会社に就職し独身生活を謳歌していました。そして、今回は昨年12月に結婚したばかりの新婚家庭に迎えられることになりました。彼は着実に人生を歩んでいるのに、自分は最初訪れたときもそして今も学生だなんて・・・。そう言ってもしかたのないことなので、自分は自分の道を歩むしかいないですよね。

 ルワンダに着いた日は金曜日で、居住区のクリスチャンが集まるミーティングの日でした。会場はある信者の家で、当番制で変わるそうです。会社員、銀行員、退職者、学生などさまざまな職業の人が15名ほど集まり、日常的なできごとの報告や、聖書の解説をし合ったりします。ミーティングの終わりには、それぞれが祈りを捧げたい人を告白し参加者全員で祈ります。

 およそ2時間ほどのミーティングの後は食事です。食卓に並んだのは、茹でたキャッサバとプランテンバナナ、ジャガイモ、それから揚げパンとチャイといった簡素なものです。私はクリスチャンではないのですが、お礼を言って少し分けてもらいました。エチオピアからの移動もありどっと疲れた身体に、シナモン入りのチャイが染み渡ります。

 今回のミーティングに参加していても感じたのですが、この国で暮らす人たちは(といっても私が知っている限りですが)他のアフリカ諸国と比べて熱心なクリスチャンが多いように思います。アフリカ大陸全土に教会はあるのですが、日常のなかで祈ったり神様の話をする友人も多くいます。

 だからこそなのでしょうか。長崎の原爆資料館を訪れたとき、アルフレッドは相当衝撃を受けていました。なかでも足を止めていたのは、焼け溶けたロザリオの展示です。クリスチャンがクリスチャンの頭上に原爆を落としたことが信じられないと口にしていました。

 それから彼が感銘を受けていたのは、『この子を残して』の著者であり放射線医療研究者であった永井隆博士です。永井博士はクリスチャンでした。彼は原爆によって被爆するよりも前に、放射線研究のために被爆していました。8月9日の原爆投下の際は、自らも大怪我をしながら救助活動を懸命に行いました。戦後寝たきりになっても「如己堂」と呼ばれる小屋のような家で執筆を続け、戦争の悲惨さを伝える作品をいくつも残しました。

 アルフレッドは会う度に「永井博士をいつも思い出すんだ。本当に彼を尊敬しているんだ」と言ってくれます。なんだか自分のことのように嬉しくなると同時に、長崎で生まれ育った者として原爆の歴史を伝えていかなければという思いにも駆られます。

 

新婚の味はピーナッツ?

 さて、アルフレッドの家に戻りましょう。ある日の昼食で出てきたのは落花生のシチュー。落花生といえばピーナッツと同じものですよね。イギリス英語ではこれをGround Nut(グランド・ナッツ)と言うそうで、ルワンダではG-Nut(ジー・ナッツ)と呼ばれています。ご飯などにかけてこのシチューを食べます。

 見ためはちょっと日本ではあまり馴染みがない感じです。似ているとすれば白和えでしょうか。ただ、トマトも入っているのでピンク色の白和えのような色合いです。正直言って、美味しそうな色合いではありません。ですが、とっても美味しいんです。ナッツの香ばしい感じとトマトの酸味がほどよくご飯によくあいます。

 アルフレッドにこれうまいよね、というとあまり芳しい表情を見せてくれません。どうやら彼はあんまり好きではないようです。「じゃあ、なんでこれが昼食なの」と聞くと、「妻がこれが好きだからさ」と一言。どうやら新婚の味は譲り合いの味、アルフレッドにとってはピーナッツの味のようです。

 

 別の日に食べたもう一品。アルフレッド曰く「アサンテ」と呼ばれるものらしいのですが、豆とカボチャの煮物です。味付けに使われている調味料が「アサンテ」と呼ばれることから、彼はこの料理をアサンテと呼んでいるようです。ちなみに、アサンテはスワヒリ語で「ありがとう」を意味する言葉です。ルワンダでは、スワヒリ語よりもはるかにルワンダ語が話されていますが、商品名にはスワヒリ語が使われることもあるようです。

 こちらも落花生のシチューと同様に、ご飯にかけていただきます。冷めたご飯に冷めたアサンテをかけて食べたのですが、これも不思議とイケます。ふと思ったのですが、こちらの食べ物は冷めても美味しいものが多い気がします。まだどこの家庭にも電子レンジがあり、ガスがあるという状況ではないからでしょうか。冷めたまま食べても違和感がないのです。

 ちなみに、アサンテもアルフレッドは好きではないそうです。じゃあ、なぜ食べているのか・・・。もうみなさん理由はおわかりですよね。新婚の味は譲り合いの味、アルフレッドにとってはアサンテの味なのでした。

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千の丘の国と長崎

 楽しかったルワンダ滞在もあっという間に終わってしまいました。最後はバスに乗って隣国ウガンダへと向かいます。まずキガリの町にひときわ大きく目立つ建物、キガリシティタワーへと向かいます。そして、タワー下のバス停へ。驚いたのはバス停が、とっても整然と整備されていることです。人びともきちんと列を作ってバスを待ちます。

 ここまで来るときも、ICカードを利用するバスがあったりとルワンダの変貌は目を見張るものがありましたが、このバスターミナルが一番の驚きでした。ただ、いくら箱はあってもなかなかバスが来ない・・・。バスが来たとしても長蛇の列のため、乗れるのは1時間後だったりします。

 1時間待った挙句、ウガンダ行きのバスに間に合いそうになかったので、バイクタクシーで長距離バスターミナルへ。不満に思いながらも、一瞬でそんな感情も吹き飛ぶ景色が眼下に広がります。山の斜面に無数に光り輝く灯火。ルワンダの丘を駆け下りながら見える景色は、さながら長崎の夜景です。きらめく光を目の前に、少しだけ故郷が恋しくなった旅立ちの夜でした。